東邦大学と日本生命保険相互会社は、この度、東邦大学初の社会連携講座である「社会実装精神医学講座」を設置しました。わが国におけるメンタルヘルスの向上に向けて、MEICISで取り組んできた、様々な早期相談・支援サービスの発展と普及を目指して、さらに研究と地域実践を推し進めていきます。
講座の設置にあたり、去る2023年4月6日に東邦大学において契約書調印式を行いました。
<契約書調印式の様子>
左から、【日本生命】浜口知実理事 ヘルスケア事業部部長、赤堀直樹取締役 常務執行役員、
【東邦大学】 高松研学長、盛田俊介医学部長、根本隆洋教授
<社会実装精神医学講座設置の目的>
心の健康問題はコロナ禍でより顕在化し、特に女性や若年者など弱い立場にある人たちのメンタルヘルスは、社会的に大きな課題となっています。目まぐるしい変化の中で、早期相談や不調への対応についての関心が一層高まりつつあります。
本社会連携講座では、厚生労働科学研究事業として実施してきた「MEICIS研究プロジェクト」の中で開発した、メンタルヘルスに関する種々の相談・支援サービスとそのシステムのさらなる普及を目指します。東邦大学と日本生命の共同研究契約に基づく社会連携講座の設置により、両者のネットワークとノウハウが活かされることが期待されます。具体的には、各地域における地勢、人口動態、経済・産業、保健医療福祉に関わる社会資源などを踏まえ、諸機関や多職種専門家、住民のコミュニティ、そして自治体との連携構築を模索し、「ワンストップ・ケア」を重視したメンタルヘルス早期相談・支援サービスの設置や継続的支援などを行っていきます。
大学の医学部は、教育、研究に診療を加えて3本柱とするのが、他学部との大きな違いであり特徴です。しかし研究において、その成果が実地で役に立つまでには17年かかり、実際に活用できる成果も14%にとどまるといわれています。本講座は、地域社会におけるメンタルヘルスの促進と、人々が不調の際には早期相談と支援が可能となるサービスやシステムの「社会実装(social implementation)」を目指します。そうした思いを込めて、東邦大学初の社会連携講座を「社会実装精神医学講座(Department of Psychiatry and Implementation Science)」と名付けました。「社会実装精神医学」という、新たな学問を打ち立てる気概を持ち、研究のみならず地域における実践を重視してまいります。そして、わが国におけるメンタルヘルスの向上と、全世界の目標である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、力を尽くします。
国民の健康寿命延伸と保険事業の高度化の実現によりあらゆる世代が安心して暮らせる社会を目指す日本生命と、建学の精神「自然・生命・人間」を受け継ぎ、自然と生命の科学で社会に貢献できる人材育成を行う東邦大学との産学連携により、精神的に豊かで躍動的な社会の実現を目指します。
社会実装精神医学講座の設置に関わるプレスリリースを行いました。下記URLを是非ご参照ください。
https://www.toho-u.ac.jp/press/2023_index/20230411-1278.html